帝王切開による出産

入院にむけて
帝王切開が選択された場合、安全な出産を目指して準備が行われます。 予定帝王切開の場合、陣痛が起こる前の赤ちゃんの成長が十分な37週~38週台になることが多いようです。

入院にむけて

  • 1. 帝王切開の日が決まると、入院に必要な物や手続き、注意点などが説明されます。
  • 2. 帝王切開前検査として、血液検査、心電図検査などの検査が行なわれます。
入院から退院まで
経過が順調な場合は、帝王切開の前日に入院し、帝王切開の7日~8日ごろに退院するケースが一般的です(入院期間は、帝王切開後の経過や病院によって違いがあります)。
帝王切開でも経腟分娩でも赤ちゃんの成長や発育に違いはありません。

※ 病院によって帝王切開の方法や入院中のスケジュールは異なります。

入院から帝王切開前まで

入院初日

  • 入院に際しての注意事項や帝王切開による出産の細かい説明が行われます。
  • 血圧や体重測定、問診により、お母さんや赤ちゃんの健康状態を確認します。
  • 内診や超音波検査などを行い、子宮頸管の開き具合や赤ちゃんの大きさ・頭の位置を確認します。逆子が理由で予定帝王切開になっている場合、赤ちゃんが正常の位置にもどっていると帝王切開が中止となることもあります。
  • 帝王切開に備え、リラックスしてしっかりと睡眠をとりましょう。

帝王切開前

  • 帝王切開に備え、当日の飲食は禁止されます。
  • 血圧、体温、脈拍の測定とともに点滴を開始し、血管を確保します。
  • 手術台では衣服を脱ぎ、手術布がかけられます。導尿の処置後、血圧計と心電図計がセットされます。

帝王切開による出産方法

麻酔(硬膜外麻酔、腰椎麻酔)

  • 手術台の上で横向きになり、エビのように体を丸めた姿勢で腰に麻酔薬を注入します。

麻酔(硬膜外麻酔、腰椎麻酔)をします。

下腹部の皮膚を切開

  • 下腹部の皮膚を横か縦に切開します。頸部筋腫、子宮前壁に付着した前置胎盤、赤ちゃんが横向き(横位)、緊急の場合は、母体や胎児の安全を考えてしばしば縦に切ることもあります。

下腹部の皮膚を切開します。横切開・縦切開

赤ちゃんをとりだす

  • 子宮の下部を横に切開し(状況によっては子宮体部を縦切開)、卵膜を破って赤ちゃんを取り出します。前置胎盤、大きい頸部筋腫の合併、横位、1,000g未満の極端な未熟児で逆子の場合など特殊な場合は子宮を縦に切ることもあります。続いて胎盤を取り出して出産は終了します。 上半身は麻酔が効いていませんので、帝王切開中に赤ちゃんの産声を聞いたり、感激の対面をすることもできます。
  • 前置胎盤、大きい頸部筋腫の合併、横位、1,000g未満の極端な未熟児で逆子の場合など特殊な場合は子宮を縦に切ることもあります。

赤ちゃんをとりだす

子宮を縫い合わせ、お腹の傷を縫合

  • 子宮の切開部は吸収糸(溶ける糸)で縫い合わせ、止血を確認します。その後、癒着防止材で子宮の傷をカバーして癒着を防ぐ処置をすることが増えています。
  • お腹の傷を縫い合わせ、皮膚は糸やステープラーなどで止め、シールでカバーして帝王切開は終了です。
  • 一般に帝王切開は30分から1時間で終了します。
癒着ってなに?
手術のあとにおなかを縫って閉じると、本当はくっついて欲しくない組織どうしがくっつくことがあり、「癒着」といわれます。 特に症状が無ければ心配する必要はありませんが、最近では癒着を予防するために様々な処置が行われています。

回復室に移動し、経過をチェック

  • 帝王切開終了後数時間で麻酔の効果が弱くなり、傷の痛みに加えて子宮が収縮する後陣痛を感じます。
    痛みは我慢せずに伝えて、痛み止めの処置をしてもらいましょう。お母さんが落ち着いてから、あらためてゆっくりと赤ちゃんと対面できます。

帝王切開後から退院まで

帝王切開後1~2日目

  • 回復の様子を見ながら過ごします。ガスが自然に排出することを確認します。
  • 傷の痛みと後陣痛が続き、悪露(おろ)(胎盤が剥がれたあとの血液や、分娩による産道の傷の分泌物など)が出ます。
  • 経過が順調であれば、帝王切開後2日前後で点滴が外されます。
  • 血栓症を予防するためにも、帝王切開後の経過に問題がない場合には、翌日に膀胱カテーテルを抜いて、早めに歩いてトイレに行くようにしましょう。
  • 食事はおもゆやおかゆから普通食とすすんでいきます。

帝王切開後3~5日目

  • 食事は普通食となり、経腟分娩の方と変わらない生活ができるようになります。
  • 授乳や赤ちゃんの世話なども介助してもらいながら練習します。
  • 通常はおなかの傷の糸やステープラーなどもシールドしてシャワーを浴びることができます。

帝王切開後6日目~退院

  • 退院に向けて、沐浴の練習や退院指導を受けます。
  • 前日の診察で異常がなければ、帝王切開後7~8日ごろ退院となります。