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A.
医療技術の進歩により、帝王切開もより安全に行なわれるようになりました。 しかし、「手術」には変わりありませんので、術後合併症として再出血(縫合不全)、感染、血栓症(肺塞栓症)、術後癒着(腸閉塞)、麻酔に伴う合併症などがあります。 しかし、それぞれの危険性をきちんと認識し、適切に対応することによって危険を回避することは不可能ではありません。
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A.
手術を行うと、お腹を閉じた後で本当はくっついてほしくない組織どうしがくっつくことがあり、「癒着」といわれます。
特に症状が無ければ心配する必要はありませんが、腹痛などの症状が出ることもあります。
最近では癒着を予防するために「癒着防止材」を使用するなど様々な処置が行われています。
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A.
帝王切開では、麻酔科医の管理のもとで腰椎麻酔や硬膜外麻酔が多く行われています。
いずれも下半身に効いているだけなので、帝王切開中でもお母さんの意識はあり、産声を聞けますし、対面することもできます。
なお、状況によっては赤ちゃんを無事出産したのち、お母さんにはお薬で眠ってもらうこともあります。
出血や胎児機能不全で緊急帝王切開になるときはすぐに手術が開始できるように全身麻酔を行うことがあります。
お母さんの意識がないため、赤ちゃんとの初対面は麻酔が覚めるまでおあずけとなります。
麻酔の影響で頭痛や吐き気を感じる場合がありますので、気分が悪い時には看護師に伝えてください。
また、個人差もありますが、帝王切開終了後はしばらく麻酔の効果が残るため、下半身に感覚がなく痛みを感じることはありません。麻酔の効果が切れると傷の痛みや後陣痛などを感じるようになるので、我慢しないで医師や看護師に伝えて処置を受けてください。
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A.
麻酔薬を使用する場合は、専門の麻酔科医が赤ちゃんやお母さんへの影響を考えて麻酔量を計算して投与するため心配ありません。
また、全身麻酔の場合は、時々赤ちゃんは麻酔により眠ったまま出てくることがありますが、医師がそれに対応した処置を行いますので心配ありません。
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A.
痛みの感じ方は個人差が大きくいろいろですが、麻酔時の痛みはすでに陣痛がある場合はあまり感じない人が多いです。手術中に麻酔の効きが弱く痛みを感じる場合、それは取り除く必要がありますので、医師や看護師などに伝えてください。
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A.
一般的には約1時間です。ただし赤ちゃんやお母さんの状態により手術時間は変わります。特に、前に手術の既往のある人は、癒着の程度により手術時間が長くなることがあります。
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A.
帝王切開の流れの中でも解説していますが、赤ちゃんを取り出すためにおなかの皮膚を縦か横に10~12cm切開します。
なお、お腹の大きさが妊娠前と同じに戻ると共に、お腹の傷口も小さくなります。
切開方法については病院や医師の方針、帝王切開するための理由、麻酔方法や緊急度により決定されますので、事前に確認(相談)してください。
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A.
通常は子宮の下部を横に切開して赤ちゃんを取り出します。
縦に切開するのは、下記の理由などによりお母さんと赤ちゃんに安全な方法として選択されます。
など 通常の方法に比較して、子宮の筋肉をしっかり切開するので、出血がやや多くなります。また、次の妊娠では子宮の切開創が弱くなりやすいので、必ず帝王切開になります。
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A.
立会出産が可能かどうかは、病院の方針とお母さんや赤ちゃんの状態によって決まります。まずは、病院に訊いてみてください。
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A.
定期健診では、血圧測定、浮腫の検査、尿検査、子宮底長測定、胎児心拍の確認、体重測定を行います。妊娠の週数により、内診、超音波検査、血液検査、産道の細菌検査などを行います。
また、必要に応じて子宮ガンの検査などをする場合もあります。
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A.
帝王切開ではお腹の下の方を切りますので、赤ちゃんをスムーズに取り出すためにお母さんのお腹を上から下に押すことがあります。
また、鉗子分娩や吸引分娩を行う時に、お腹を押すのを併せて行うことがあります。
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A.
子宮筋腫の状態にもよりますので、一概には言えませんが、多くは子宮筋腫を合併しない分娩と同じように対応されます。ただし、筋腫のできている場所によっては帝王切開が必要な場合もあります。詳しくは担当医師にお尋ねください。
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A.
後陣痛は、出産後、子宮が収縮するときに感じる痛みです。帝王切開で出産した場合、陣痛そのものの痛みを経験していないため、この痛みを強く感じる方が多いようです。
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A.
陣痛の経験や経腟分娩ではないと、お母さんとして失格だと思っている方がいらっしゃいますが、そのようなことは決してありません。帝王切開も経腟分娩も同様に長い間大切に赤ちゃんをお腹の中で育ててきたことに変わりありません。 自信を持って子育てをなさってください。
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A.
出産により胎盤がなくなると、ホルモンバランスが変化して母乳が出るようになります。
帝王切開初日はお腹が痛いので授乳は控えますが、翌日には授乳できるようになります。早産などで赤ちゃんがNICU(新生児集中治療室)に入院している場合は、母乳を搾って哺乳びんなどであげます。 お母さんの血圧が高かったりタンパク尿などがある場合は、安静期間も大切にしながらゆっくり母乳をあげるようにしましょう。
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A.
個人差はあるものの、ちょっと引っ張られるような感じがするくらいで、強い痛みはほとんどありません。
最近では医療用ステープラー(後日取り除きます)、溶ける糸(抜糸はしません)で皮膚を閉じる施設も増えていますので、 痛みへの心配はほとんどいりません。
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A.
帝王切開後は、後陣痛や傷の痛みなどを感じる方が少なくありません。しかし、術後はたくさん動く方が子宮の回復も早くなりますので、痛み止めを上手に使いながら早期に離床して、 歩くなど体を動かすようにするとよいでしょう。
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A.
3ヵ月程度で赤みがとれ、1年くらいで目立たなくなります。ただし、個人の体質によってはまれにケロイドが残る場合もあります。
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A.
個人差が大きいため必ず回復が遅れるというわけではありません。
しかし、一般に年齢が高くなると、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)や子宮筋腫などを併発するケースが増えるため、若い人と比較して産後の回復に時間がかかる可能性はあります。
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A.
マタニティブルーは産後3~6日に約10~50%発生するともいわれています。症状には不眠、食欲不振、涙もろさ、不安などがあります。これは、出産後に急激に内分泌変動が起こることが原因で、自然に治るため、心配はいりません。ただし、症状が続く場合はうつ病になる可能性もあるので、医師に相談してください。
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A.
帝王切開を行うと、生理の5日目ごろに月経が一旦終わったように感じ、その後ごく少量の出血が3-5日続くということが起きる人もいます。 これは、子宮を切った部分が少しくぼむため、少量になった月経血がその部分にたまり、たまった月経血がその後ゆっくりと押し出されていくためにみられる現象です。 月経そのものが長くなっているのではなく、すでにはがれているものがしばらく子宮の中にとどまってから出てきているのです。
実生活では、おりものシートを長く使用しなくてはならないなど、不愉快なこともあるかもしれませんが、大切な赤ちゃんを帝王切開で出産なさったお母さんの努力の結果として起きていることです。
頻度は少ないですが、ほかに原因がある場合もありますので、しっかりした月経様出血が8日以上続く場合や14日以上が生理期間になる場合は医師に相談してください。ほとんどは大きな障害ではないので、心配ありません。
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A.
目安は、産後の1ヵ月健診以降から2ヵ月位になります。出産は子宮や腟に小さな傷をたくさんつくりますが、1ヵ月位で回復します。健診で問題がないと言われたら分娩方法にかかわらずセックスは可能になります。産後は女性ホルモンが低下するため、腟の表面がデリケートで乾燥しやすくセックスで痛みや違和感を感じる人もいます。その場合は専用のゼリーを使用してください。
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A.
帝王切開のあとは、次の妊娠まで1年以上空けるようにしましょう。これは帝王切開で傷ついた子宮が治るまでの期間と考えてください。1年以内に妊娠した場合は医師に相談してください。出産後は生理が再開していなくても妊娠の可能性はあるため、避妊をしなければいけません。
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A.
帝王切開で出産した人が、次に経腟分娩を試みることをTOLAC(Trial of labore after cesarean elivery)といい、経腟分娩をするとVBAC (Vaginal birth after cesarean section:ブイバック)と言います。
TOLAC時のリスクとして子宮破裂があります。以前に帝王切開をしていると、子宮に傷が残っています。 この切開創の部分は他の組織よりも弱いため、子宮筋が収縮したり伸展をしたりを繰り返す際に破れる危険があります。 そのため多くの医師が、VBACによる出産よりも反復して帝王切開で出産する方が安全と考えています。
また、TOLACはどの病院でもできるわけではなく、子宮破裂などのリスクに対応できる病院で行うのが望ましいでしょう。
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A.
いろいろ考えられますが、次のことに気をつけましょう。
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A.
妊娠するとつわりのために歯磨きができなかったり、ホルモンの影響で唾液が変化したり、免疫の状態が変化したりするため虫歯や歯周病になりやすくなります。
予防として、マウスウォッシュを使ったり、キシリトールガムをかむとよいでしょう。 もし虫歯や歯周病になってしまい歯科にかかるときは、必ず妊娠していることを伝えましょう。
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A.
温泉の浴用禁忌に「妊婦(初期と末期)」と記載されていることがあります。
それは、妊娠初期や末期は、流産、破水、貧血などがおこりやすい時期だからです。温泉そのものが妊婦に悪影響があるというわけではありません。ただし、妊娠中は皮膚が敏感になっていて、刺激の強い硫黄泉や濃い食塩泉、ラジウム泉などは避けた方がよいと言われています。また、長湯をするとのぼせてしまうことがあるため、ほどほどがいいでしょう。
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A.
特別な合併症などがない限り、妊娠中は身体を動かした方が良いことが分かっています。運動として、マタニティ体操、マタニティビクス、マタニティヨガ、ウォーキング、マタニティスイミングなどがあります。ただし、これらは医師や助産師の指導もとで行ってください。
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A.
帝王切開ではシャワーがしばらくできなくなるため、水のいらないシャンプーや体を拭くタオルなどがあると便利です。また、ペットボトル用のストロー、ストローホッパーなどは動きがとれないときに役立ちます。
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A.
1人目が帝王出産だった場合、2人目が必ずしも帝王切開になるわけではありませんが、最近はそうするケースが増えています。(VBACは安全ですか?参照)。
ただし、お母さんの状態や病院の方針により異なるため、主治医の先生に相談してください。
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A.
高齢出産が必ず帝王切開になるわけではありません。
傾向として、高齢出産は帝王切開になる率が高くなりますが、基本的には、お母さんが経腟分娩に耐えられない場合や、帝王切開の方が赤ちゃんの安全が確保できる場合に行われます。年齢が上がると、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などの合併症の頻度が上がりますので、そのために帝王切開が必要となる人もいます。
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A.
帝王切開が可能な回数に明確な制限はありません。ただし、3回、4回となればそれだけリスクは高まります。
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A.
帝王切開に限らず「産後は生理が軽くなる」と言われています。しかし、その度合いには個人差があり、反対にひどくなってしまうお母さんもいます。
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A.
お母さんから赤ちゃんに酸素や栄養を運び、赤ちゃんの老廃物を受け取るという重要な役目をしている臓器です。また、胎盤は有害なものが赤ちゃんに移らないようにするフィルターとしての役割を持ちます。胎盤は受精卵からでき、妊娠16週頃に完成します。子宮の内側にくっついて母体とつながり、他方の側には臍帯がついていて胎児ともつながっています。